[No. 137] 職業の特性を活かしたプロボノワーカーとしての活躍

小林氏は小学校教員という職業柄必須な「教室運営」「マネジメント」のスキルを、仕事以外の場でも活かし地域貢献している。個性や経験を活かすボランティア「プロボノ」に興味を持つ個性豊かな社会人の集まりの中、チームのリーダー役として活躍。個々人の長所(個性)をみつめ、適切にまとめ、人脈をつなぎ、職業の違いを壁と感じさせない活動でボランティアを率いている。

 小林氏は教員生活20年目の中堅となるが、仕事を離れた場所での地域活動や市民活動に積極的に参加している。H24年度より当法人で受託実施している『プロボノSAGAスタイル』には、様々なスキルや経験を持つ社会人有志がボランティアとして活躍しているが、氏は、未開拓のジャンルやエリアにおいても周囲をまとめあげている。
 チームの中では、教員生活で培ったマネジメント能力を活かし活躍。昨年度(H24年度)は『NPO法人 佐賀県放課後児童クラブ連絡会』のプロボノチームにおいて、今年度(H25年度)は『NPO法人SAGA アウトドアガイドクラブ』でのプロボノチームにおいて、プロジェクトマネージャーを担当している。携わったチームメンバーの職種・経歴は多様で、団体職員・教員・新聞記者・会社員など様々であるが、持ち前の洞察力とマネジメント力を発揮し、チームをリードしている。
 その他、まちおこしグループ「武雄人倶楽部」として地域イベントへ積極的に参加、被災地支援グループ「ONE LOVE 武雄」としてボランティア報告会「おもやいカフェ」の開催を呼びかけるなど積極的に地域住民をまとめている。

(1)成果・効果
「プロボノSAGAスタイル」では、プロジェクトマネージャーとして2年に渡りボランティアとして関わりを持った。プロボノワーカーをまとめるプロセスにおいては、関係する方々に的確なチームビルディングを行い、異業種間で多様性を受け入れ互いを尊重し合うことの大切さを示した。また、担当プロジェクトにおいても、常に相手の立場になった行動を心がけており、チームメンバーおよび支援先団体との信頼を構築している。
(2)チャレンジ性
初年度プロジェクトを終えた後、「初年度よりもよりよいマネジメントに挑戦したい」と、自ら2年目の挑戦に手をあげた。仕事とは直接関係のない「Webプロジェクト」であるが、持ち前の勤勉さで、専門的知識を学びながら、自身の未開拓分野に挑戦している。
(3)波及効果
プロボノに限らず、様々な地域の場において、自らの個性を活かし地域貢献する教員が求められる。「教育」は学校現場だけでは成り立たたず、児童に多様な価値観や社会の存在を知ってもらうことが大切である。小林氏のように、常に「社会」に目を向ける教員の存在は、これからの教育現場で求められる素質だと感じる。
(4)協働
教育の場でも「地域」との関わりが必要とされている中で、壁ができてしまいやすい「学校」という背景を持つ教員が、積極的に地域活動に携わることは、地域住民とのコミュニケーション形成においても大変喜ばしいことだと思う。学校と外とのネットワークづくりに寄与することで、今後の「学校との地域連携」においても、周囲からも必要とされる人財となることだろう。
(5)継続性
昨年から2年に渡り、時間を工面しながら「プロジェクトマネージャー」としてのボランティア活動を継続している。今プロジェクトは現在進行中であるが、プロジェクト終了後、そしてその後も、様々な分野、地域、市民活動において幅広く活躍されることを期待する。