[No. 130] 職業の特性を活かしたプロボノワーカーとしての活躍

長崎市より人事交流で派遣された佐賀県武雄市(H22〜24度)、一武雄市民として、こどもの居場所づくりを行なうグループ(任意団体)の立上りに積極的にかかわった。翌年には職業上のスキルを活かす『プロボノ』として、「プロジェクトマネージャー」を担当し、組織としての立ち上がり期を支援。効率的で且つ穏やかなチームビルディングを行い、職業や背景の異なる市民で構成するプロボノチームをまとめあげることに成功した。

 前田氏はH23年7月、市民との交流を深めようと、当法人主催ワークショップ『プチ起業交流塾』に自主的に参加した。子育て経験を活かした地域貢献を目指す仲間との出会いをきっかけに、自治公民館で開催するこどもの居場所づくり活動「よりみちステーションぼちぼちや」スタートアップに協力するなど、積極的に携わった。
 翌年、佐賀県より受託実施した『プロボノSAGAスタイル』において、『長崎市へ戻る時にも経験を持ち帰りたい』と自主的に登録し、職業上のスキルを活かすプロボノワーカーとして多様な職業や経験を持つ市民ボランティアをまとめるリーダー役として活躍した。担当プロジェクトは、立ち上がり間もない組織の基盤強化のためのマーケティング調査を4ヶ月程で行なうもので、地域に根付いた活動を目指し、自治会や公民館利用者等、地域住民の意見をヒアリングしまとめる作業であった。
 『プロボノぼちぼちやチーム』は、4名のボランティア(会計担当の会社員、中間支援NPOスタッフ、採用1年目の県職員、前田氏)で構成していたが、それぞれの仕事の特性や時間の遣い方が異なることを素早く理解し、バランスを考えながらリードをとった。

(1)成果・効果
放課後のこどもの居場所づくり活動「ぼちぼちや」を立ち上がり期から知り、初年度は市民と一緒になり活動し、次年度はプロボノとして公務員の特性を活かしながらチームをまとめ、間接的に団体を支えた。プロボノではメンバーの個性が十分に役割分担されプロジェクトがまとまることで、団体の支援が叶い、確実に基盤強化が進んでいる。現在は、県や市との連携し協働事例においても活躍している。
(2)チャレンジ性
人事交流で武雄市に3年間生活していた前田氏だが、仕事においてだけではないく、プライベートの時間においても積極的に一市民として関わりを持つ姿勢は、多くの市民との信頼を築いた。武雄市における「ひとづくり」「まちづくり」「市民協働」のパーソナルな関わりはこれに終わらず、商工会との「ちゃんぽん学会」開催、被災地支援活動「ワンラブ武雄」など幅広い。
(3)波及効果
前田氏の事例を知ることで、様々な背景を持つ市民(ボランティア・役割)をまとめる実践の場として、仕事にも好影響する良い事例として、プロボノワーカー開拓に繋がっている。
(4)協働
一市民としてNPO主催事業への参加および市民活動への協力、翌年は、プロボノ参加による間接的な市民活動支援に関り、協働の大きな枠組の中に自らの身を置かれた。このことは、市民側にとっては影響が大きく、市民からは「将来、こんな職員さんが居ればぜひとも協働したい。」と声があがった。協働の大切な「思想」の部分において、まさに種まきをされたと思う。
(5)継続性
長崎市へ帰られてからの「プロボノSAGAスタイル」での参加は物理的に叶わないが、初期段階から関係性ができている「ぼちぼちや」についてはSNSなどでも気にされており、どこにいようと応援されていることが伝わる。今後は一長崎市民として、多くの長崎市民と共に汗を流し悩み、関係性を築かれることだろう。