主催者は救急車でのiPad活用の政策を企画し導入を行ったことで、不可能と言われていた救急搬送時間の短縮に成功し、2012年にMCPCアワードでグランプリを、全国知事会先進政策創造会議では大賞を受賞した。
「現場」を徹底的に回ったことが成功の大きな理由であったことから、公務員が現場へ飛び出せばどれだけの素晴らしい政策が生まれるかを身をもって体験し、仕事ではないアフターファイブの時間を使って現場へ、地域へ飛び出す仲間を増やそうと思い立った。
最初は県職員だけでやっていたがどうしても内向きになってしまいがちなので、ゲストを外部から呼び刺激や気づきをもらいながら、参加者も県職員だけでなく、民間企業、学生やCSO活動者など、異業種交流的にして、さらに対話が生まれるように第1部を講演会、第2部は参加者同士で対話をしてもらう場にした。
これまで5回の講演会を開催し延べ350名の参加があった。講演テーマとなった「ICT活用」や「遠隔手話通訳」は県の政策に実際に導入されることになった。また、講演会をきっかけに実際に佐賀で地域活性化活動をはじめる職員もあらわれるなど公務への波及効果も出ている。
(1)成果・効果
講演会の参加者同士繋がりが生まれた。建設業の社長と肝がん治療の医師、人気菓子店のパティシエと県職員、など広い繋がりが生まれ、互いに世界が広がるとともに、講演会後もFacebookなどのSNSを通じて情報交換などを行うようになった。
(2)チャレンジ性
日本のiPad活用第一人者のSoftBank中山五輪男氏、米経済誌フォーブズでも紹介されたシュアール代表大木洵人氏、地雷撲滅や少年兵の社会復帰を東南アジアやアフリカで行っているテラルネッサンス創設者鬼丸昌也氏など世界的に活躍している人をゲストとして呼ぶことで、いろんな視点から刺激を受けたりモチベーションを高めてもらい、役所の外の世界へ関心をもってもらうような内容にしている。
(3)波及効果
講演会をきっかけに新しい政策が生まれたり、地域活動に参加する職員も現れるなど公務への波及効果も出ており、さらに他の自治体でもアフターファイブで自主勉強会を行うなど広がりをみせている。
(4)協働
当初は、主催者が単独で行っているイベントであったが、共感の輪が広がり、CSO団体との共催で、お互いに集客や周知、会場運営のノウハウなどを持ち寄り、参加者300名規模の企画をすることになった。
(5)継続性
講演会の周知や名簿の整理、会場の設営など、公務員が日中に仕事をしながらの開催はかなりの負担であるので、CSO団体と共催することで日中はCSO団体が対応し、人脈を活かしたゲストとの交渉は職員側で行うなど、お互いの強みや経験を活かした取組みを行っている。また、プラスワン活動であることから県の予算は使えないので、講演で共演した人などと仲良くなっておき、その後もFacebookなどで連絡を取り合い、たまたま九州へ来るときに講演をしてもらうことでコストを抑え、参加費500円程度で継続可能な活動となっている。